カンボジア

2 章 投資環境

    • Latest news and update

       【カンボジア現在の動向】
      現在、カンボジアで盛んに投資が行われている分野が製造業、いわゆる縫製業や製靴などの労働集約型産業です。
      これらの分野では、近隣諸国のタイやベトナム比較してもかなり安く労働者を確保することが可能であり、さらに労働者に対して社会保障手当等の負担義務が比較的低いことが、進出が盛んになっている理由といえます。また、農業、観光業、天然資源開発もカンボジア王国が投資を推奨している分野であります。
      カンボジア政府は、今後展開として、精密機器などの電子、電気分野、天然ガスや石炭などの資源開発分野について特に誘致を推奨しています。

      カンボジア投資方法の最大の特徴は、もっとも進出ハードルが低い制度設計になっていることです。
      基本的に、株主や取締役に現地企業の参加やパートナーシップの締結などは特に必要とされておらず、外国資本100%での設立も可能ですし、送金規制もほぼ制限がありません。このように国内、外国投資家ともに平等に取扱を受けることができます。資本金に関しては、1,000USDから会社設立が可能であり(会社法144条)、資金的にもハードルが低い設計となっています。経済特区内に会社を設立する場合、優遇措置の適用もあり、法人税や輸出入関税、付加価値税などの免除を受けることも可能となっています。
       
      また、雇用・労働に関する規制についても、縫製・製靴工場従業者を除いては、最低賃金などの規制がなく、他の東南アジア諸国と比較しても、それほど厳しいわけではないと理解しています。
       
      現在、日系企業数はカンボジア日本人商工会に加入している数を見ても、2007年に34社だったものの、2013年頃には約153社、2019年4月現在では、約261社まで増加しています。日系大手商業施設の進出、それに伴い特に中小、個人事業を中心として、サービス業の進出が相次いでおり、「製造業のカンボジア」に加え、「内需のカンボジア」に向け、着実に成長しつつあります。
    • 経済

      2000年代に入って以降、カンボジア経済は安定し始め、長期内戦からの復興を果たしています。また2010年頃から、中国やタイから生産拠点の一部をシフトする動きが見られ、チャイナプラスワンやタイプラスワンと呼ばれ、注目を集めています。
       
      GDPと経済成長率
      GDP成長率は2004年~2007年までの間は二桁成長を成し遂げました。アンコール遺跡群を中心とした観光収入、縫製業・農業の好調、住宅や工場などの建設ラッシュ、そして、外国投資や市中銀行の融資が増えたことが要因となっています。
      2009年には、アメリカのサブプライムローン問題に起因した世界金融危機の影響により、縫製品の輸出や韓国などからの観光客の減少により経済が大きく落ち込みました。
      この落ち込みからの回復力を示しているのが翌年の経済成長であり、再び6%程度の経済成長率を実現しました。その後も7%程度の経済成長を2018年まで毎年実現しています。その背景には、やはり、中間層の台頭や、所得増加による消費市場の拡大が要因として挙げられます。


      出所:INTERNATIONAL MONETARY FUND, World Economic Outlook Database, October 2018201820年は推定値)
       
      ■国家財政
      カンボジアでは、徴税が適切に行われていないことや投資法による免税措置(詳細は後述)が広範囲にわたることから、歳出を賄うほどの政府歳入がなく恒常的に財政赤字が続いています。2007年〜2008年では一時的に黒字に転じたものの、世界経済危機の影響を受けて翌年には再び赤字になり、18,307億リエルと過去最大の赤字となりました。以降も毎年財政赤字が続いています。国家の歳入と歳出は年々増加しており、それに比例して毎年赤字も多少増えているものの、赤字の割合は減少している傾向にあります。



      出所:INTERNATIONAL MONETARY FUND, World Economic Outlook Database, October 2018201718年は推定値)

      ■平均インフレ率と消費者物価指数
      カンボジアのインフレ率は、政治社会情勢が影響し、1991年に最高の191.00%を記録しました。しかし、2000年以降、2008年の石油価格の上昇による25%を除いて、1桁台を保ち、安定しています。2018年は3.25%と推定されています。


      出所:INTERNATIONAL MONETARY FUND, World Economic Outlook Database, October 20182018年は推定値)
       
      また、消費者物価指数は2004年に86.89を記録し、2017年には169.87となり13年間で約2倍となりました。その後も右肩上がりで上昇しています。なお、中国やベトナムなどのアジア諸国と比べると、インフレ率は比較的低く推移しています。
       
      ■貿易
      インドや中国での生産コストの上昇を受けて、カンボジアなどの低賃金が期待される国への衣料産業のシフトが全世界的な傾向となっています。ジェトロおよびカンボジア経済財政省によると、カンボジアは2017年の輸出総額は約110USドルで、前年より27.1%の増加となりました。また、同年の輸入総額は、約137USドルで、前年より11.3%の増加となっています。
      カンボジアは輸出総額の約64%を衣類が占めています。その次に天然ゴムが2.3%となっています。これは、2016年より53.4%上昇しており、年々増加している傾向にあります。天然ゴムの輸出は主に中国向けとなっています。


      出所:カンボジア経済財政省関税消費税総局


      出所:2017年,IMF[Direction of Trade Statistics]
       
      輸入総額の約54%を衣料原料が占めており、2017年の輸入額は約74億ドルで、衣料生産のために隣国のベトナムや中国から調達されています。近年ではタイからの輸入割合が増え、最も輸入割合が高い国となっています。
      カンボジアの主要産業は縫製業ですが、原材料の国内調達が難しいため、主に投資適格案件(QIP)認可を取得している製造業が輸入しています。2018年時点では、建設原料の輸入が増加しています。これは、都市部での建設ラッシュによりオフィスビルやアパートメント、投資用マンション、商業施設などが次々と建設されているためです。カンボジアの建設省によると、20178月時点で2017年の上半期の投資額は前年比約27%となっており、49億4000万米ドルと言われています。また、国道などインフラの整備も理由となります。2018年5月にはアジア最大級と言われるイオン2号店が開店し、その他にも複数の商業施設が開業されています。今後も商業施設の開業予定やビルの建設が予定されています。
      衣料原料や車両、建設原料の輸入は増加傾向である一方、石油製品の輸入は減少傾向にあります。カンボジアでは、2017年より製油所の建設が始められており、2019年半ばに年間処理能力200万トンのプラントが完成を予定されています。製油所が完成することで、石油製品の輸入がさらに減少すると見込まれています。

       
       
      出所:カンボジア経済財政省関税消費税総局


      出所:2017年,IMF [Direction of Trade Statistics]
       
      対日本貿易に関しては、輸出入ともに増加傾向にあります。2009年までは日本に対する貿易収支は赤字となっていましたが、2010年以降貿易黒字となりました。そして2017年の日本の貿易統計(通関ベース)によると、カンボジアから日本への輸出額は約126千万USドルであり、前年比より4.4%の増加となっています。日本からカンボジアへの輸入額は約35千万USドルで、前年比より16.7%の増加となっています。
      カンボジアの主な輸出品目は衣料や靴です。ニット製品を除いた布帛製品(スーツ、シャツなど)の輸出額は、約48千万USドルであり、前年比より2.3%の増加となっています。カンボジアの輸入品目は、建設機械や車両が中心となっています。
       
       

      出所:財務省「貿易統計(通関ベース)」
       
      ■産業別動向
      カンボジアの産業構成は、他国と比較して農業割合が高く、今後は工業、サービス業の占める割合が増加すると期待されています。
       
      [農業]
      労働人口の8割以上が従事している事業が農業です。農用地面積は国土面積の3割を占めています。GDPに占める割合が約25%であることから、農業はカンボジアの主要産業となっています。
      主な農産物は、コメ、キャッサバ、とうもろこし、天然ゴム等があげられます。カンボジアの気候により、稲作は雨季作を基本として天水に依存しており、生産性は低い状況です。また、都市化が進んでおり、首都に人口が集中することで農業就労者が減ってきています。
       
      農作物の輸出政策
      「メコン川流域に住んでいれば飢え死にという言葉がない」と古来言われているように、多種類の米や食物が収穫できます。フン・セン首相の「カンボジアを世界のライスバスケット(米びつ)にする」という発言の通り、カンボジア政府は2015年までにコメの余剰を400万トン以上とし、少なくとも100万トン以上を精米して輸出するという目標を掲げていました。しかし、2016年には精米輸出量は54万トンとなり2015年以降目標には届いておらず、前年比0.7%増と足踏み状態となっています。
       
      [工業]
      カンボジアにおける工業は、2017年のGDPにて32.7%を占めています。なかでも縫製業は、最もカンボジア経済の発展に貢献しているといわれています。1997年にアメリカからの最恵国待遇の付与によりアメリカ向けの繊維縫製品の輸出が非課税となったため、外国投資の呼び水となりました。これにより、プノンペンを中心に安い労働力を求めて外国投資による縫製工場の建設が増加しました。
       
      カンボジア工場改善プログラム
      「カンボジア工場改善プログラム(Better Factories Cambodia)」とは、国際労働機関(ILOInternational Labor Organization)によって管理され、政府、カンボジア縫製業協会(GMAC: Garment Manufacturers’ Association in Cambodia)及び労働組合によって運営されています。ILOのチェックリストに基づいて500近い項目を縫製工場に対して抜打ち検査し、賃金、労働時間、騒音、労働契約、児童労働など多岐にわたって調査されます。これにより、生産性の向上や労働条件の改善へとつながっています。
      縫製業は多くの雇用者を確保できる産業(労働集約産業)であるため、農業と同様に国の発展や貧困削減に貢献するものと期待されます。
       
      [観光・サービス]
      カンボジアにおいて、サービス業は好調で、経済成長を大きく支えています。2017年のGDP42.3%を占めており、カンボジアへの観光客数は年々増加しています。
      カンボジアには、アンコールワット遺跡をはじめ世界遺産が多数存在し、貴重な資源の一つとなっています。観光地として、アンコールワット遺跡があるシェムリアップが有名ですが、首都プノンペンも多くの外国人訪問客が訪れる都市です。プノンペンは、フランスの植民地で「東洋のパリ」と呼ばれていたこともあり、その時代の街並みが残っています。また、キリングフィールドやトゥールスレインといったクメールルージュ時代の場所も観光地として有名です。
      カンボジアを訪れる人の90%以上は観光目的とされています。2017年には、観光業での収益は36億ドルとなり、前年より約13%増加しました。外国人観光客は、同年560万人を達成し、2020年までに年間外国人訪問者数700万人を目標に掲げています。
    • 投資環境

      ■金融(株式)市場
      2011711日に、カンボジア政府と韓国証券取引所がそれぞれ55%45%の合弁により、カンボジアでは初となるカンボジア証券取引所(CSX: Cambodia Securities Exchange)が開設しました。
      なお、「証券セクターに対する優遇税制に関する法令70号」によれば、上場企業は法人所得税の10%軽減(第4条)、利息・配当の源泉徴収税が50%軽減(第5条)の優遇措置が受けられます。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      2012418日に、プノンペン水道公社がカンボジアで初めて上場しました。2018年現在の上場企業は以下の通りとなります。
       
       
       
       
       
      ・ 2012418日 プノンペン水道公社(PPWSA
       
      ・ 2014616日 グランドツイン・インターナショナル・カンボジア(GTI
      ・ 2015129日 プノンペン港湾公社(PPAP
      ・ 2016530日 プノンペン経済特区(PPSEZ
      ・ 201768日 シアヌークビル自治港(PAS)
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      民間企業の中では、ASA公開有限会社、ハッタカクセカー(HKL)等の金融企業が上場を予定しているといわれています。
       
       
       
       
       
      また、カンボジアでは中小企業が銀行から融資を受けることは難しいため、20159月に政府は成長市場(Growth Board)と名付けた市場を設置し、大企業よりも要件や資本制限を緩やかにして中小企業が株式を発行できるようになりました。しかし、2018年までに上場企業としてみなされている企業は、上記の5社にとどまっています。
       
      さらに、2017年には社債発行に関する規制を定めました。そして同年には、カンボジア国立銀行が商業銀行やマイクロファイナンス機関による社債発行および株式上場に関する省令を交付し、金融機関も総資産の20%未満まで社債発行が可能となりました。
      2018年には、カンボジアのマイクロファイナンス大手であるハッタ・カクセカーが世界銀行グループの国際金融公社の支援の下、同国初の現地通貨リエル建て社債発行をカンボジア証券取引委員会(SECC)に申請し、同年に社債の発行をしています。
      また、20186月よりオンライン取引プラットファームが開始され、より多くの投資家が手間なく取引ができるようになりました。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      ■為替レート
       
       
       
       
       
      カンボジアは、ほぼUSドル化した経済となっており、都心部での買物では通常USドルを使用し、リエルは1USドル未満の支払や、農村部で使用されます。
       
      過去10年分のカンボジアの通貨であるリエルの動きを見てみると、2010年から2012年にかけてリエル安の傾向にありましたが、2013年以降はリエル高の傾向となっています。海外直接投資の増加、各国による経済協力に伴う通貨流入などが、リエル高の要因と考えられます。
      3月末の税金の納付期限と収穫期におけるコメの買い付けによりリエルが必要となるため、季節的なリエル高の要因となっています。
      なお、為替レートは、201810月現在、1円=約36リエルとなっています。

      ■外国直接投資(FDI)
      カンボジア投資委員会によると経済特別区(SEZ)外での2017年の外国直接投資(FDI)の総額(QIP認可ベース)は、約209千万USドルとなり、前年より9.6%減少しました。投資額のほとんどが中国によるものです。2017年には約143千万USドルを投資しており、前年より95.8%の増加になっています。これは、シェムリアップ空港移転に伴う約96千万USドルの投資額も含まれています。

      カンボジア経済特別区委員会のSEZへの進出案件(同様にQIP取得企業)を対象とした統計によると、2017年のSEZへのFDIの総額(QIP認可ベース)は約48千万USドルです。これは、前年より192.3%の増加となりました。同年のSEZへの投資は、件数ベースでシアヌークビルSEZ18件)、プノンペンSEZ13件)が多くなっていました。国別にみると、ここでも中国の投資額が目立ち、約34千万USドルとなり、同年の投資額のほとんどが中国になります。中国に比べて投資額は低いものの、2016年にはシンガポール、台湾、韓国のSEZへの投資実績がありました。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      業種別では、観光業が2016年の投資額は919,000米ドルに対し、2017年には1,204,000米ドルとなり大きく伸びました。主要な観光地であるアンコールワット遺跡の入場料が同年2月に値上げされたにもかかわらず、同所の外国人訪問者数は2017年は約250万人で前年比12%増加となっています。2000年には47万人にでしたが、2017年には560 万人までに増加しています。また、工業ではる縫製・製靴分野への投資が増加しています。しかし、毎年の最低賃金の上昇により、今後の投資において懸念がされています。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      ■インフラ
       
       
       
       
      [道路]
       
      カンボジアの道路網は総延長約30,268kmであり、その内国道が4,695km(一桁番号の国道:2,052km、二桁番号の国道:2,643km)です。
      主要な物流である道路インフラは、国道1号線,4号線,5号線がプノンペンと隣国やシハヌークビル港を通じて国際市場とをつなぐための重要なルートをなしています。2014年にはカンボジアの公共事業運輸省が高速道路網計画を発表していますが、2018年時点で高速道路はまだ存在していません。
      国道4号線は、シハヌークビル港とプノンペンを結ぶ道路で、1990年代に整備され、多くの大型車両も通行しています。有料道路でしたが、2016年に料金所が撤廃されました。中国企業の支援によって、プノンペンとシハヌークビル間で高速道路の建設が予定されています。これは、アジアハイウェイ(AH)11号線の一部となります。201811月から工事の開始が予定されており、2023年に完成を予定しています。
      カンボジアで最も注目される道路建設計画は、西はタイ・バンコク、東はベトナム・ホーチミンシティを結び、国内ではプノンペンを通って横断する、アジアハイウェイ(AH)1号線です。このルートは東南アジアの海沿いの3カ国を横断する幹線道路という意味で第2東西経済回廊や南部経済回廊と呼ばれています。
      カンボジア国内では、ベトナム・ホーチミンやその郊外の港湾をつなぐ工業団地のバベットとプノンペンを結ぶ国道1号線と、タイとカンボジアをつなぐ工業団地のポイペトとプノンペンからを結ぶ国道5号線の2ルートがあります。また、国道1号線はカンダル州とプレイベン州の州境ネアックルン地区でメコン川により分断され、川を渡るにはフェリーを利用するしかありませんでしたが、日本の協力で整備が進められ、20154月にネアックルン橋(通称つばさ橋)が開通しました。



      タイ-ベトナム間を陸路で結ぶと海路より大きく時間短縮できますが、カンボジアを陸路で通過する際に関税が必要となるなどネックもありました。しかし最近、日本の運送会社が保税輸送ライセンスを持っている地元運送会社と提携してタイ-ベトナム間のサービス提供を開始するなど、第2東西経済回廊が経済回廊として機能しはじめています。また、20183月の大メコン圏(GMS)首脳会合でアーリーハーベスト措置の実施が合意され、同年6月より「一時許可書類(TAD)」を携行する車両は、GMS加盟国間で車両の乗り換えをすることなく相互通行が可能になりました。しかし、この措置では各国500台までしか越境交通ライセンスを持つことができなくなっており、どこまで輸出入の自由ができるのかは不明瞭となっています。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      プノンペンの道路インフラでは、2016年より信号機の設置が日本の援助により進められています。市内64か所の信号機を付け替え、36か所に新設されます。この合計100か所の信号機が交通管制センターとネットワークで繋がり、交通状況を監視し渋滞や事故の減少を図っています。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      [鉄道]
       
       
       
       
      カンボジアの鉄道は、北線と南線の2つの路線が存在します。北線はプノンペンとポイペトを繋ぎ、南線はプノンペンとシハヌークビル港を繋いでいます。内戦以前から存在し、内戦によって駅舎などが破壊され、その他、地雷や洪水などの問題があり、長年十分に機能していません。また、運行本数が非常に少なく利便性に課題があります。
       
      2005年には、ダイヤの改正がなされ、北線は13本、南線は11本の列車が設定されました。旅客列車は、北線のみで1週間に1回に削減されました。南線は旅客減少が激しく、山賊に襲撃されるなどの治安問題があったため、2004年に打ち切られています。
      2016年には、北線での旅客列車の運行が再開されました。201844日から、シソポンからタイとの国境にあるポイペトまでの列車の運行も再開され、プノンペンからポイペトまでの直通列車も再開されました。
      また2018410日に、プノンペン国際空港までの支線が開業されました。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      将来的にはシンガポールから中国雲南省の省都「昆明」まで延長予定の、ミッシング・リンクと呼ばれるプノンペン-ベトナム国境間の鉄道建設が計画されています。20117月に開催された第4回日メコン外相会議において、日本、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイ、カンボジアの代表らは、ミッシング・リンクへの対応を含むメコン地域のインフラ整備について協議しました。この計画は中国の資本によるものであり、完成後にはカンボジアと中国との距離が一気に縮み、モノとヒトの大移動が可能になります。
       
       
       
       
       
      2015年には、アジア開発銀行が中心となって大メコン圏地域戦略の提唱を行い推進しています。この戦略はカンボジアに大きな影響を与えており、域内の道路のリンクが重要であると注目されています。技術研究所の設立を目指し国際基準に対応できる技術者集団を作ること、職業訓練施設の設立による知識と技術力の標準化などを行っており、人材登用制度の呼びかけも想定されています。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      [水運]
       
       
       
       
       
      カンボジアの内陸水運のネットワークはメコン川とその支流、トンレサップ川、バサック川から構成されています。雨季においては全長約1,750kmですが、乾季には船が通行できる距離は全長約580kmに減少します。
       
      河川港で物流を支える主な港はプノンペン港です。プノンペン港は、カンボジアとベトナム国境のカアムサムナー(Kaam Samnar)から100km、南シナ海への出口であるチュウテイアウ(Cuu Tieu)から332kmに位置しています。この港は、プノンペンとベトナム・ホーチミン市を結ぶ役割を担っています。
      その他に内陸河川沿いの主な港は、以下の6港があります。

       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      スタントレン(Stung Treng)
       
       
       
       
       
      :
       
      クラティエ港から1,280キロのメコン上流
      クラティエ(Kratie)
      :
      コンポンチャム港から121キロのメコン上流
      トンレベト(Tonle Bet Port)
      :
      コンポンチャム州、プノンペンから106キロのメコン上流
      ニークロアン(Neak Loeang)
      :
      プリベン州、プノンペンから60キロのメコン下流
      コンクニアス(Chong Khneas)
      :
      シェムリアップ州、プサール・クロム港から190キロのトンレサップ川上流
      プサール・クロム(Phsar Krom)
      :
      プノンペンから100キロのトンレサップ川上流
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      2009年にベトナムでカイメップ・ティバイ港が整備され、それ以降、プノンペン港を使用する貨物も増えています。
      また、2013年に中国の支援によってプノンペン新港が開港されました。プノンペン新港からは、ベトナムのホーチミン市もしくはその郊外にある港湾に運ばれます。また2018年には、プノンペン港で行われていた物流もプノンペン新港がその役割をなしており、中国企業によってプノンペン港の大規模再開発が予定されています。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      カンボジアに存在する唯一の外港であるシハヌークビル港は1960年に建設された港湾で、プノンペンと国道4号線で結ばれており、カンボジア唯一の深海港です。シハヌークビル港湾公社が管理・運営をしており、2007年以降は日本の円借款によって整備がされています。シンガポールやホーチミン市を経由して、週14便の定期便が他国とカンボジアをつないでいます。取扱量は年々増加しており、コンテナでの輸出入、燃料の輸入が多くなっています。
       
       
       
       
       
      シハヌークビル港以外にも、スレアンベル港、カンポット港、オクニャモン港等の小規模な港が存在しています。特にオクニャモン港は一般貨物を頻繁に取り扱っています。その他、プリ・シハヌーク州のスタンハブでの国際港、ケップ洲での観光港計画などがあります。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      [空港]
       
       
       
       
       
      カンボジアには2018年時点で11の空港があります。定期便が使える主な空港は、プノンペン国際空港とシェムリアップ国際空港のみとなっています。
       
      プノンペン国際空港でプノンペンに乗り入れている飛行機の主な行き先は、バンコク、ホーチミン、クアラルンプール、広州、上海、香港、ソウル、成田等となり、欧米への直行便はありません。
      2001年にプノンペン国際空港は施設を新たに改修し、2015年から2018年の間に直行便が増えています。プノンペンと成田の直行便は、ANA20169月より開設しました。また2017年には、複数の航空会社による他国とプノンペン間で直行便が運航されました。
      2018年には、カンボジアアンコールエアー、スカイアンコール航空、バサッカエアー、JCインターナショナル航空、ランメイ航空、スモールプラネット航空、カンボジアバイヨン航空の7つの現地航空会社と37の国際航空会社が運航をしています。
      また、カンボジア政府は20181月にプノンペン郊外のカンダル州タカマオ市にある2600ヘクタールの敷地に新たな国際空港を建設することを発表しています。投資額は15USドル規模を想定しており、空港はシェムリアップ国際空港と同等の規模が見込まれています。これは、増加し続けている外国人観光客に対し、現在の空港だけでは受け入れきれないことと、長距離飛行を行う大型旅客機に対応するための空港の拡張も難しいことが理由として挙げられています。しかし、発表されてから着工自体に目処がたっておらず、建設は遅延し、完成予定も未定となっています。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      [電力]
       
       
       
       
       
      カンボジアで事業を行うには、ディーゼル及び重油を燃料とした自家発電機を利用しなければならず、電力不足が一つの悩みとなっていましたが、201112月、カンボジア最大の水力発電であるカムチャイ・ダムが操業を開始しました。中国の資本により建設されたこのダムは、2.8USドルを投じられ、総出力は195メガワットとなっています。
       
      政府は更に、2019年までに合計2,045メガワットの電力を供給できる9つのダムを完成させる予定で、今後、電力不足は徐々に解消されていくものと思われます。
      20113月に発生した東日本大震災により、原子力発電に対する不安が世界中に広がりました。安全と環境を両立できる水力発電の大規模導入例として、カンボジアのダム建設計画は、国内のみならず国外からも大きな注目を集めています。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      一方地方では依然として24時間供給は保証されておらず、品質も信頼性に欠けるのが現状です。2007年のカンボジア電力開発計画では、電力需要は2020年まで急速な増加を辿ると予想され国営企業であるEDC(Electricite du Cambodge)2020年までに全ての村で、2030年までにはその他の農村地帯においても70%の地域に電力を供給する計画をしています。
       
       
       
       



      鉱工・エネルギー省の報告書によると、2017年の総エネルギー生産量は2,283メガワットで、2016年の2,115メガワットから増加していました。総生産量の43%が水力発電、23%が石炭火力発電、11%がディーゼル発電、3.6%がバイオマス発電、18%が輸入電力です。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      [通信]
       
       
       
       
       
      通信手段は、徐々に国民全体に行き渡ってきています。固定電話の使用率は2009年で0.4%であったのに対し、2012年には3.9%になりましたが、2012年以降は携帯電話の急速に普及により固定電話の使用率は年々低下しています。
       


      出所:カンボジア電気通信規制機関(Telecommunication Regulator of Cambodia ,TRC
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      一方、携帯電話の普及率は2009年に44.8%であったのに対し、2013年以降では130%以上と大きく増加しています。携帯電話加入者は、2015年に最高の約2,085万人に到達し、その後は下降しています。20184月時点での加入者数は約1,827万人となっており、同年のカンボジア人口約1,620万人と比較しても、非常に高い数値となっています。
       
       
       
       
       
       


      出所:カンボジア電気通信規制機関(Telecommunication Regulator of Cambodia ,TRC
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      主な携帯電話会社は、以下の6企業になります。
       
       
       
       
       
      企業名
      携帯キャリア
      CamGSM Co., Ltd.
      携帯キャリア「Cellcard
      消費者市場と企業市場どちらでもサービスを展開
      Viettel (Cambodia) Pte. Ltd.
      携帯キャリア「Metfone
      2010年にMobitelを買収
      モバイルサービスのシェア46%を獲得
      Smart Axiata Co., Ltd.
      携帯キャリア「Smart
      加入者は750万人を超え、26,000万人以上の顧客を抱えるアジア最大級の電気通信グループであるAxiata Group Berhaの一員
      Xinwei (Cambodia) Telecom Co., Ltd.
      携帯キャリア「Cootel
      カンボジアで正式に4G技術を提供する最初のオペレータ企業
      Cambodia Advance Communications Ltd.
      携帯キャリア「qb
      2006年に通信ライセンスを取得、20083月にサービスを開始
       
      South East Asia Telecom (Cambodia) Co., Ltd
      携帯キャリア「Seatel
      2014年シンガポールにASEAN地域の移動通信およびISP投資家として設立
      SEATEL Groupの子会社South East TelecomCambodiaCo., Ltd. SEATEL Cambodia)を2014年に設立
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      日本とは異なり、携帯電話の利用方法は主にプリペイド方式となっています。9割以上がSIMカードを購入しての利用で、発行枚数は人口比で130%程度となっています。
       
       
       
       
       
      外国人のSIMカードの購入にはパスポートが必要となります。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      インターネット環境も徐々に整備されています。カナダのInternational Development Research Center (IDRC)の支援をうけた郵電省が1997年に導入し、現在はCamNetという名称でテレコム・カンボジア(Telecom Cambodia)が運営しています。GMS情報スーパーハイウェイ・プロジェクトの一環として、カンボジア、中国、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイを結ぶ650kmに及ぶ光ファイバーケーブルの敷設が20097月に完了しました。2017年の3月にはカンボジア初の海底通信ケーブルが政府と民間企業の協力により実現しています。
       
       
       
       
       
      インターネット加入者は、年々増加しており、20184月時点で約1,098万人が加入しています。郊外エリアのインターネット環境も整備が本格的に始まり、2018年にコンポンチナン州で整備が開始されています。2018年では全土で78%の普及率を達成しています。
       
       


      出所:カンボジア電気通信規制機関(Telecommunication Regulator of Cambodia ,TRC
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      Wi-Fi環境の整備も進み、空港、ホテル、アパートやマンション、カフェやレストラン、スパなど、飲食店や商業施設にはフリーWi-Fiが利用できるようになっています。政府は2020年までに都市部の100%、それ以外の地域70%を512kbps以上のネットワークで結ぶ目標を掲げています。
       
       
       
       
       
      カンボジアには有線インターネット接続事業者が33社あり、無線などのモバイルインターネットの普及率と有線のインターネットの普及率は99:1となっています。そのため有線事業者は激しい価格競争に陥っており、回線設備に十分な投資をすることができず、混雑時間帯の回線不良など、通信容量増大に追いついておらず、また、劣化した通信ケーブルによる事故も発生しているなどの課題があります。
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      人的資源
       
       
       
       
       
      ポルポト時代の大量虐殺を背景に、カンボジアの人口ピラミッドは少しいびつな形をしており、30代以上の世代が極端に減少しています。過去の内戦により、有能な人材の喪失、法律を含む文献、インフラなど各方面での破壊、国土の自由な往来を妨げる埋設地雷、そして国連主導で成立した政府の統治能力の低さなど、さまざまな面で悪影響は確かにあります。
       
      それでも20歳代以下の人口が喪失分を補う「若い国」として、現在著しい発展を遂げています。


      出所:Population of Cambodia 2017 - PopulationPyramid.net
       
       
       
       
       
       
       
       
       
       
      Worldometersによると、20185月時点において、人口は約1,620万人となっています。
       
       
       
       

                     全体の人口と都市部の人口(予測)